医療関連感染は患者に損害を及ぼすだけでなく、医療機関にとっても甚大な損害を発生させるものである。医療法人徳洲会館山病院(以下当院とする)は、南房総に位置し高齢化率23%(平成22年度)の地域であり、高齢による免疫能の低下、ADLやコンプライアンスの低下により感染防止技術の実施が行えないなどの患者も多いことから感染拡大の可能性が十分に考えられる。
当院はそういった現状に対して真摯に向き合い、適切な情報収集とその分析、評価、および対応策の実践を行っていく責任がある。そのため、ここに院内感染対策マニュアルを改訂し、本指針に則った組織的な感染管理活動を実践していくものとする。
医療と療養環境の安全性を確保し適切な医療の提供を図ることを目的とし院内感染対策委員会を設置するとともに、感染管理活動の実践部門として感染対策室(以下感染制御チームとする)を設置する。
また、現場での感染防止策の啓発と問題点の抽出を目的としてリンクスタッフ会を設置する。
院内感染対策委員会は規定で定められた委員で構成され毎月開催される。感染制御チームから提案された感染防止策について審議し、評価・助言を行う。
感染制御チームは院内感染対策委員会に委嘱され、チーム内に感染管理者を設置するとともに、規定で定められた委員で構成され月に1回開催される。予算に関わる事案以外の感染防止策について組織横断的に立案・実行・評価を行う。
また、毎週1度および必要に応じて施設内巡視および立ち入り検査を行い、現場に対して感染予防策および抗菌薬の適正使用に関する勧告、教育を行う。
リンクスタッフ会は規定で定められた委員で構成され毎月開催される。感染管理看護師を中心に臨床現場の問題点の抽出や現場スタッフへの啓発活動を通して、感染防止のための知識や技術を養う。
職員の院内感染対策に対する意識の啓発や感染防止技術の向上を目的として、全職員を対象とした研修を少なくとも年2回以上開催する。
なお、諸研修の開催結果、実績は記録保存する。
また、新採用時の研修は十分な実務経験を有する指導者が適切に行う。
日常的に当院における感染症の発生状況を把握するシステムとして、毎週感染情報レポートを作成し院内感染対策委員会・感染制御チームで活用するとともに、対象限定サーベイランスを必要に応じて実施し、院内感染の早期発見に努める。また、感染症報告経路を整備し早期対応をすることでアウトブレイクの発生を防ぐことができるように努める。
なお、外部機関への報告は感染症法に準じて適切に行い、必要に応じて保健所へ相談し連携を図る。
院内感染が疑われる事例が発生した場合、感染制御チームは迅速に詳細を把握し感染対策委員長に報告するとともに、感染拡大防止策・再発防止策を講じる。また、必要に応じて保健所へ相談し連携を図る。
本指針は患者およびその家族、あるいは第三者(行政機関)に求められた場合、開示・公表をする。
(令和3年10月改訂)